【社長ブログ】ある日、エース社員が南の島に移住したいと言ってきた。どうするおれ。


ある日のこと。

加藤社員
社長、ちょっと2人で話したいです!

ある日、現場の中核を担うエース社員の加藤から連絡があった。このパターンで社員に呼び出される時は、何かしらの問題や悩み相談が多い。仕事のトラブルか、チームの問題か、妄想しながらランチに出た。結果、想定していなかった話に度肝を抜かれることになるとは、この時は知る由もない。

雑談を交えつつ、本題へ切り込む。

池戸社長
で、何かありましたか?
加藤社員
突然ですが、南の島に移住しようと思ってます!
池戸社長
……

……………

えっ!?

加藤社員
東京を離れ、移住するため、6月末をもってサムライトを退職させていただきたいと考えています。
池戸社長
…………

(加藤はこれから会社を背負って立つべきリーダーだ。退職は避けたい。けど、南の島への移住とは。勇気のいる素晴らしい決断だ。何より羨ましい!けど、困る…… えええどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしよう)

池戸社長
一度、持ち帰らせてください。また連絡します。

……ということがありました。

はじめまして。サムライト株式会社・代表取締役の池戸聡(いけどさとる)です。

上記エピソードはフィクションではなく、実際にサムライト社内であったやり取りです。

2018年現在、今まで当たり前とされていた企業と従業員の関係性、“労働者にとって働く”という概念そのものが、もの凄いスピードで変化しているのを目の当たりにしています。弊社のエース社員・加藤の移住事件も、その変化の象徴とも言える出来事の1つなのかもしれません。

そこで、この記事では、実際に起きた社内のエピソードやこれまでの経験や学びをもとに、労働者の価値観の変化について考えていきます。また、私自身の葛藤や悩みも交えながら、会社という器のあり方、会社と従業員の関係性、サムライト流の働き方改革について考察していきます。

そして、気になるエース社員・加藤の結末もお楽しみください。

●プロフィール
池戸聡(いけど・さとる)
社長ときどき旅人。新卒で広告代理店に入社し、デジタルマーケティングの最前線で奮闘するも、世界一周したいという想いが抑えきれなくなり、同社を退職。1年半の世界一周の旅より帰国した後、創業メンバーとしてサムライトに参画し、2015年より代表取締役CEO。

※ご注意ください
本記事は長文コンテンツとなっております。加藤の結末を今すぐ知りたい方はこちらをクリック

サムライトの経営者として見える景色

私自身は、サムライトの経営者として、これまで100人を超える社員と仕事を共にしてきましたが、私が当たり前だと思っていた“働く”という概念は、良い意味で何度も壊され、アップデートされてきました。

そんな中で、サムライトの“従業員らしさ”はこんなところに集約されるかもしれません。
(※あくまで傾向の話なので、全員が該当するわけではありません。)

①将来へのビジョンが明確で、そのための手段として会社勤めやサムライトを選択している。
②収益を生み出す以上に、社会的な意義や価値、また自分自身の欲求に重きを置いている。
③仕事=会社ではなく、会社は仕事の1つ。副業含めて様々な仕事コミュニティに属している。
④会社に依存しない。社内価値を高める(※出世など)より、市場価値を高める。
⑤誰が言うかは大切ではない。忖度なくシンプルに、”コト”や”モノ”に向き合う。

補足になりますが、我々のようなスタートアップ企業を自ら選ぶ時点で、サムライトの社員は良い意味で“変わり者”でしょう。笑(感謝しています!)(*1)

そんな大きな変化を感じながら、創業以来、サムライトでは“従業員の履歴書を豊かにする”、“新しい働き方を育む”という経営理念を掲げ、メンバーには『会社は踏み台だ。会社を利用していいんだ』と伝えています。

日々試行錯誤しながら、これまで、副業制度、時短正社員、フルリモート社員やリモート制度、お昼寝制度、選択式人事制度など、サムライトなりの働き方改革に取り組んできました。

※*1:サムライトは創業5年のスタートアップ。平均年齢は30歳。マーケティング/広告/メディアの業界に位置付けられ、編集、ライター、デザイナーなどのクリエイティブ職が従業員の半分を占める。

サラリーマンにかけられた魔法が解けかかっている

労働者に何が起きているのか? どう変化しているのか?

それらを紐解いていく上で、まず世の中の大きな流れを見てみましょう。ざっくりとしたまとめ方で申し訳ないのですが、詳細の解説は専門家に譲るとして、ここでは大きな流れのみ掴んでいただければと思います。

世の中の大きな流れ

・大企業もつぶれる時代
・大企業のリストラ
・終身雇用制度の崩壊
・長時間労働の是正と生産性向上への取り組み
・少子高齢化と労働人口の減少
・厳しい年金事情
・インターネットの登場とデジタルシフト
・個が稼げるサービスやプラットフォームの台頭
・テクノロジーの進化
・お金持ち=幸せという価値観の変化

これらの社会的な背景や変化が、“企業と従業員の関係性”や“働くという概念”そのものを強烈に変えていったのだと思います。

ここでは高度経済成長期以降に染み付いていた労働者の価値観を1.0次の世代の労働者の価値観を2.0と表現し、比較してみました。この2.0の価値観は、1980~2000年頃に生まれたミレニアム世代を中心とし、徐々に社会全体にも染み出していると感じています。

労働者の価値観1.0 労働者の価値観2.0
会社に雇われる 会社を利用する
終身雇用が前提 転職時代の到来
仕事=会社 仕事=A(会社の仕事)+B+C
副業/フリーランス時代
副業=悪 副業=収入源の1つ/本業に学びを還元するもの
社内価値の向上(※出世が全て) 市場価値の向上
会社の看板で勝負する 個で勝負する/個が名刺代わりになる
経済的な豊かさ=幸福
お金を稼ぐ>自己実現
経済的な豊かさ≠幸福
お金を稼ぐ<自己実現
上司が言うことは絶対 誰が言うかではなく、何を言うかが重要
年功序列 成果主義
長時間労働=美徳 短時間労働=美徳
仕事=お金を稼ぐ手段 仕事=人生を豊かにするもの
好きは仕事にならない 好きを仕事に
自身の欲求にシンプルに生きる
決められた仕事をこなす 自ら仕事を創造する
決められたキャリアのレールを歩む キャリアのレールを自ら開拓する
will(やりたい)を我慢する(右向け右組織) 自己実現を目指す

エース社員加藤も、まさに労働者の価値観2.0な男です。彼は、“おもしろきこともなき世をおもしろく”をモットーに、市場価値を高め続け、個で勝負する覚悟を持ち、自らキャリアのレールを開拓してきました。そして結果的に自身の欲求に素直に生きることを決めたのだと思います。

旧来型の社会においては、労働者は生涯に渡り企業に尽くす一方、企業は労働者の収入や生涯の安定を保証してくれる。そこでは「価値観1.0であるべきだ」と暗示をかけられていたのかもしれません。

しかし、経済環境や社会の変化、インターネットが登場した結果、サラリーマンにかけられた魔法が今、解けかかっています。

なお、サラリーマンかフリーランスか、大企業か中小企業か、正社員かアルバイトか、東京在住か地方在住かは、“労働者の価値観2.0”とは一切関わりありません。市場と対峙し常に自身をアップデートしている人、自らの力でキャリアを開拓したり個で勝負する人、自身の将来のために今の会社を利用してやるくらいの気概を持つ人、好きを仕事にしていたり仕事という存在が人生を豊かにする存在になっている人、かどうかが価値観2.0か否かの違いと考えています。

幻冬舎のスーパー編集者・箕輪厚介さんをヒントに、企業のあり方を考える

世の中の労働者の価値観が1.0から2.0にシフトしていく世界を想像してみましょう。

どんな会社や組織をつくり、従業員とどんな結びつきを構築していくべきか、その答えに戸惑う経営者も少なくないでしょう。私自身もその1人です。

経営者として日々向き合っているお題であり、時に迷い、悩み、失敗することも多々あります。ただ、間違いないのは、社員に選ばれる会社をつくることは経営上の最重要事項であり、持続的な成長には不可欠であること。従って、試行錯誤し、チャレンジしていくしかありません。

ただ、意外なところにヒントは落ちているものです。落合陽一さんと堀江貴文さんが著者の『10年後の仕事図鑑』の一説に、幻冬舎の箕輪厚介さんに関するこんな記述がありました。

幻冬舎のヒットメーカー・箕輪厚介君は、会社をうまく活用して自分の価値を積み上げた代表例だ。彼は会社に勤めながら個人でもオンラインサロンを主幸し500名を超えるメンバーを率いている。数え切れないほどのプロデュース案件も回しており、会社から支給される給料の数倍の収益を上げている。しかし彼は、『幻冬舎の給料がゼロ円になっても会社を辞めない。』と断言している。

彼は、編集者として生きていく上で、『幻冬舎の社員であること』に大きな意味があることを理解している。幻冬舎のインフラをフル活用し、いつでも自分の作りたい本を出版できる環境を使いながら、自分の名をブランド化しているのだ。

もちろん、彼のように優秀な編集者が組織内にいることは、幻冬舎にとっても大きなメリットがある。理由は単純で、彼の作った本は飛ぶように売れ、会社に多額の利益をもたらす上に、会社の中にいては得られない時代の最先端の情報や人脈を外から持ってくるからだ。

SBクリエイティブ 2018年 堀江 貴文,落合 陽一『10年後の仕事図鑑』 P.41,42

箕輪さんは、もはやその気になれば、いつでも起業できるでしょうし、いつでも自由人になれるはずです。しかし、箕輪さんは幻冬舎に属する理由があり、幻冬舎も箕輪さんに居続けて欲しいと思っているはずです。そこには報酬を超越する”結びつき(エンゲージメント)”があり、箕輪さんと幻冬舎のやりたいことがリンクしている状態とも言えます。この話には、たくさんヒントが詰まっている気がします。

リンクアンドモチベーションさんは、企業が人を惹きつける「魅力因子の4P」という考え方を提唱しています。選ばれる企業の魅力を訴求する際の4Pとは、Philosophy( 理念・目的)、Profession(仕事・事業)、People(人材・風土)、Privilege(特権・待遇)とのことです。

これまで、多くの人にとって、一番の魅力因子(結びつき)は“Privilege(特権・待遇)”だったと言えるでしょう。しかし、“お金や条件”という結びつきだけでは、サウザーさんが主張するように、結果的に仕事はきついものになるし、生き生きとしたワークスタイルは実現できないでしょう。

報酬が重要であることは引き続き間違いありませんが、箕輪さんの例にあるように、これからの時代、企業と従業員の新しい結びつき(エンゲージメント)を構築することがますます重要になることは間違いありません。

”自己実現“と”社会的意義”のハンバーガーで社員を包み込む

労働者の価値観が1.0から2.0にシフトする中で、企業と従業員の結びつき(エンゲージメント)が必要であることに言及しました。結びつきを構築する上でのポイントは、従業員の多様性を理解し、それぞれのライフステージや個性に、適切な環境/機会を提供するという前提に立つことです。その上で、従来の魅力因子の4Pに加え、新たに2つの結びつきを構築することが重要だと考えています。

①自己実現の結びつき

従業員のwill(やりたいこと)と会社の方向性が何かしらのカタチでリンクし、自己実現に向かっている状態(例:必要な経験やスキルが獲得できる)

②社会的意義の結びつき

会社の事業や自身の仕事に社会的な意義や価値を感じている、つまり、その会社でしか実現できない仕事や価値がある状態

サムライトでは、その結びつきを能動的に構築する活動を『“自己実現”と“社会的意義”のハンバーガーで社員を包み込む』と表現しています。

会社が能動的に個人のwill(やりたい)を応援する

自己実現と社会的意義の2つの新しい結びつきを構築する。ただ、これらは勝手にできるものではなく、特に自己実現の結びつきを構築するためには、会社が能動的に働きかける(個人の”やりたい”を積極的に応援する)必要があると考えています。

これまでは一握りのスーパーサラリーマンしか、やりたいことができなかった時代でした。やりたいを実現する機会やスキル・経験が不足し、結果的に何かしらの理由でチャレンジできていない方が多かったようです。

そこで会社の出番です。従来は、一握りの優秀な人しかやりたいことができなかったかもしれませんが、会社が“能動的に”個人のwill(やりたいこと)を応援することで、やりたいことができる人を増やす。これが次の時代において、会社という器に求められる役割なのではないかと考えています。よって、サムライトでは、自社が目指す方向性とリンクしている状態を前提とし、能動的に個人のwillを実現しにいく(個人のwillに寄せにいく)ことを基本スタンスとしています。

多様性の落とし穴

“自己実現“と“社会的意義”のハンバーガーで社員を包み込むこと、また従業員1人1人のビジョンやwill(やりたいこと)を応援することは簡単なことではありません。

これまで、サムライトでもたくさんの失敗を経験しています。

従業員1人1人の自己実現を応援することは、1人1人の多様性と向き合うこと。しかし、多様性の尊重やダイバーシティという言葉だけが暴走すると、時に組織のルールや秩序が乱れ、組織は一体感と推進力を失います。

組織としてできること、できないこと、その基準を明確にしていくことが求められます。また、多様性を尊重しながら、ビジョンやミッションなど企業理念を共有する一枚岩の集団であることも、より一層重要になるのは言うまでもありません。

さらに、今の我々の規模であれば柔軟に個別対応していくことは可能ですが、どこかで個別最適の限界もくることでしょう。大きな組織でも実現できる仕組みに昇華していく必要もあります。

これらの舵取りやバランスを保つことは非常に難しいですが、この変化にいち早く対応し、実現していくことが自社の魅力を高め、結果的に、競争力の源泉を生み出すことになると信じています。

エース社員の加藤の結末は……

さて、エース社員加藤のその後を覗いてみましょう。ここまでお付き合いいただいた方は、もう想像されている通りです。

加藤社員
こちらは、九州と沖縄の間に浮かぶ、奄美大島。
自然豊かな島で、のんびり楽しく過ごしています!

と同時に、これまで一緒に働いてきた気心の知れた仲間と、
ひきつづき一緒に仕事することもできています!最高です!
現在は、南の島で働く仲間を増やそうと画策中です(笑)。

現在は、週4フルリモート社員という新しいカタチと共に、サムライトの社員として奄美大島で勤務しています。羨ましい限りです。笑

サムライトに貢献し続け、内情を理解し、マーケティングという専門性を有する加藤であれば、フルリモートかつ週4勤務というカタチでも十分に価値を発揮できると考え、加藤の夢にサムライトも付き合ってみようと判断しました。

また、本件をきっかけに、奄美大島支部もできました。
国内の新しい拠点、西日本への進出、自治体との連携など、加藤の移住をきっかけに、サムライトにも新しい可能性が芽生えました。これも1つの縁です! この縁を未来のサムライトにつなげていくことも、経営者である私の仕事でしょう。

長々と書いてしまいましたが、“働き方改革”に代表される考え方や取り組みは、労働者やメディア目線で語られることは多いものの、企業や経営者目線でその内情や裏側が語られることは多くありません。本当の意味での働き方改革は、政府や企業の制度策定のみならず、労働者の価値観の変化、そして、労働者と企業の新しい関係構築がセットで実現されるものだと考えています。

これを機に、皆さん自身が“働く”ということや、企業との関係性を考え直すきっかけになれば何よりです。一方で、組織作りや人事制度の策定に悩む経営者や人事担当者の参考になれば嬉しい限りです。

この大きな変化に気付けていない、または変化に対応しない企業は、次の時代において社員から選ばれ続ける企業になることはないでしょう。サムライトもまだまだ道半ばという状況ではありますが、“従業員の履歴書を豊かにする”、”新しい働き方を育む”という経営理念に恥じぬよう、魅力ある企業や組織作りに向けて、精進していきます!

サムライトで一緒にチャレンジする仲間を募集しています。

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(編集:岡田萌香)

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社長ときどき旅人。新卒で広告代理店に入社し、デジタルマーケティングの最前線で奮闘するも、世界一周したいという想いが抑えきれなくなり、同社を退職。1年半の世界一周の旅より帰国した後、創業メンバーとしてサムライトに参画し、2015年より代表取締役CEO。