ヤフトピ砲がガンガン飛んでくる!最強オウンドメディア「弁護士ドットコム」に聞くトピックス運営方法とは?


 

連載「メディアメーカー」

スタートアップに特化した情報や考察を発信するブログメディア、

The Startup編集長の梅木雄平がメディアにまつわる人々を取材し、メディアの未来を紐解いていく。

「メディアメーカー」のオウンドメディア運営者特集第3弾は、日本最大級の法律相談ポータルサイト「弁護士ドットコム」のオウンドメディア「弁護士ドットコムトピックス」。

Yahoo!トピックスにも頻繁に掲載されるなど、今や日本屈指のオウンドメディアといっても過言ではない。同社代表取締役社長の元榮(もとえ)太一郎氏と編集長の亀松太郎氏に話を聞いた。

元榮氏が経営する法律事務所オーセンス前にて 亀松氏(写真左)、梅木(写真中央)、元榮氏(写真右)

また、弁護士ドットコムトピックスに関しては、筆者も以前コンテンツマーケティングの視点で紹介している。詳細は下記をご覧になって頂きたい。

参考:コンテンツマーケティングが秀逸な法律Q&Aサイト弁護士ドットコム

「時事性+弁護士のコメント」で専門性を上げ、記事で法律をもっと身近なものに

弁護士ドットコムトピックスは2012年4月開始。2014年2月時点では累計記事数は1,000本を超えており、Yahoo!やハフィントンポスト、BLOGOSなどのサイトへもニュース提供し、一度はその記事を目にした読者も多いのではないだろうか。どのような目論見で始めたのだろうか。

梅木:「どのような目的で弁護士ドットコムトピックスを始めたのか聞いてもいいですか?」

元榮:「『法律をもっと身近に』が弁護士ドットコムの理念です。法律というと何か自分の周りで事件が起きたときなどに、はじめてその必要性を実感する場合が多いかと思います。Q&Aサイトであるがゆえに、有事になってから弁護士ドットコムを訪れるユーザーがほとんどでした。平時でも多くの人により身近に法律を感じてもらえる手法はないかと考えていました」

亀松:「トピックスでは、社会で話題になっている時事的な話題を中心にできるだけ身近に法律を考えられるようなコンテンツにするアプローチを取っています。1記事の字数は1,000〜1,500を目安とし、後半部分には弁護士からのその事件なり法律問題に関する詳しめの解説を入れるようにしています。『ニュース』という形でコンテンツを出しているので、弁護士ドットコムを全く知らない人でも記事を読んだ結果、弁護士ドットコムを知ってもらえる。トピックスは事業における水先案内人という位置付けです」

たしかに、普通に生活していたのでは法律の問題に遭遇する機会は少ない。しかし、何か気になるニュースを法的観点で見るとどうなるか。興味をそそる話題は、案外多い。例えば、下記のような記事は北海道出身の筆者としては気になってしまう。

「雪かき」で近所トラブル発生! マナーに反する除雪をストップさせられるか?

 

異例の開始2ヶ月でYahoo!ニュース提供社に

– 実は弁護士ドットコムトピックスを始める前に、元榮氏はYahoo!ニュースの編集者に弁護士関連の記事に需要があるか調査をしていたという。

元榮:「時事的なニュースに弁護士の分析的なコメントを加えると面白いのではないか。ジャストアイディアでしたが、Yahoo!ニュースの編集者に聞くと、面白い、需要があるとのことで、これはいけるのではないかと思い、様々なニュースメディアを見様見真似ですぐに立ち上げました。幸いなことに、数本目に書いた『カンボジア人になった猫ひろし 二度と日本国籍に戻れない可能性』という記事がヒットし、その成果をご報告したところ、ありがたいことにYahoo!ニュースの提供社になることが決まりました」

– 弁護士ドットコムトピックスのリリースが2012年4月。その2ヶ月後の6月にYahoo!ニュースに提供を開始。このスピード感はなかなかない。今では月に数十本台後半から多い時は100本出す月もある。実務を司る亀松編集長に編集体制を聞いた。

梅木:「普段はどのような体制で記事の編集を行っているのですか?」

亀松:「今は社内に3名の編集者がいます。毎朝ネタを吟味する会議を設けていますが、それだけではマンネリ化するので、会社全体からもネタの提案を随時お願いしています。ライターは外部の方が中心で、今まで30人ほどの方に寄稿していただきました。レギュラーで書いていただいているのは5〜10人といったところです。私は編集長として、ネタを決めたり最終チェックしたり、時にはリライトすることもあります。サッカーでいうボランチのような仕事だと思っています」

一般ユーザーからの大きな認知のみならず、弁護士からの社会的信用も獲得

弁護士ドットコムトピックスの投入により、Yahoo!を起点に転載先も増えた。記事が時折Yahoo!トピックスにも転載されていることから、弁護士ドットコムトピックス単体で月間訪問者数は200万人、PVは300万を超えることもある。弁護士ドットコム全体では月間訪問者数440万人、PVは1,100万に上る月もある。

オウンドメディアの効果検証として、KPIに置いているのは月間訪問者数だ。弁護士ドットコムトピックスへの訪問からどれだけ有料会員(月額315円)へ誘導でき、CPAはいくらというような算出はしていない。認知効果として月間訪問者数を指標に置き、今後は法律の隣接分野である政治や事件などの分野に拡充することも視野に入れた上で、月間500万人の規模まで持っていきたいと考えているという。たとえば、事件のニュースはマスメディアでは警察・検察の視点が多いが、それを弁護士視点から解説するというコンテンツも考えているという。

一般ユーザーからの認知は確実に上がっているが、副次的な効果として弁護士からの認知が上がっている点は見逃せない。弁護士ドットコムでは弁護士が有料課金してサイトに登録するメニューを持っており、そちらに寄与しているのではないかという。

元榮:「弁護士の先生から年賀状をいただく際に、『弁護士ドットコムトピックスの記事でコメントしました』『(弁護士ドットコムトピックス経由で)Yahoo!ニュースに載りました』と記載されていることもあります。こうしたコメントは励みになり、とてもうれしい気持ちになります」

世の中に存在する弁護士の数は約3万5000人。その内の既に6,500名超が弁護士ドットコムに登録している。全体に対して約2割だが、身近な弁護士の実現に寄与する弁護士ドットコムトピックスを通した弁護士内での弁護士ドットコムへの共感性や信頼性の向上により、登録ペースが加速することも想像に難くない。

オウンドメディアはCPAなどのいわゆるダイレクトマーケティング的な効果で図ろうとすると失敗に終わるということは本連載の取材を通して再三述べてきた。

弁護士ドットコムトピックスは、Yahoo!ニュースなど第三者のポータルの力も借りながら一般ユーザー(ToC)への認知を上げ、一方でQ&Aというサービスの属性上必要となる弁護士(ToB)への信用を上げるという、本業を伸ばすのに大車輪の役割を果たす、類い希なるオウンドメディアの成功事例といえよう。

プロフィール

元榮太一郎

弁護士ドットコム株式会社・代表取締役社長兼CEO。弁護士法人法律事務所オーセンス・代表弁護士。慶應義塾大学法学部法律学科卒業。大学卒業翌年に旧司法試験に合格し、最高裁判所司法研修を経て、2001年第二東京弁護士会に登録。現在では5人に1人の弁護士が利用する法律相談ポータルサイト「弁護士ドットコム」のみならず、税理士紹介ポータルサイト「税理士ドットコム」を運営するなどWebメディアにおいても活躍の幅を広げている。解説者としてフジテレビ「めざましテレビ」、「アゲるテレビ」、朝日新聞デジタルのネット生中継をはじめ多数のメディアに出演。

 

プロフィール

亀松太郎

東京大学法学部卒業。朝日新聞記者を3年務め、その後は複数のネット系ベンチャー企業に携わり、法律事務所でもリサーチャーとして活躍。2010年に株式会社ドワンゴ入社し、ニコニコ動画で政治・報道番組の企画やニコニコニュースの編集長を務めた。現在は弁護士ドットコムトピックスの編集長として活躍している。

 

著者プロフィール

梅木雄平


The Startup」編集長。慶應義塾大学卒業後、複数のスタートアップ企業での事業経験を経て、独立。スタートアップ業界のオピニオンメディアThe Startup運営の他、東洋経済オンラインへの寄稿も手掛ける。3月20日に単著「グロースハック」を発売。

 


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